1.マルチングボードによる土壌面蒸発抑制効果試験 ほ場面に被覆面積の異なる(直径60、80、100cmの円形)マルチングボードを設定し、土壌水分の乾燥過程を裸地と比較した。マルチング面積の違いが根群域に相当する土層の水分保持効果に大きく影響し、その効果の違いは乾燥強度が大きくなるにつれて顕著になった。また、灌水実験によりボード直径が1メートルの場合でも灌水した水はボード直下中央の土層に数時間で到達することを確認し、マルチングにより降雨有効化の阻害が少ないことが明らかになった。 これらの実験成果を研究論文としてとりまとめ、日本緑地工学会誌に投稿中である。 2.施設園芸の消費水量に関する実験的研究 岐阜県古川町高冷地農業試験場の雨除けハウスで、ポット試験と気象観測を行い、ホウレンソウとトマトの消費水量について実験を行った。さらに、ハウス内外の気象データならびに水面蒸発量を実測し、ハウス内消費水量の算定手法を確立した。 3.施設園芸における自動灌水装置の実用化試験 岐阜県丹生川村保木ヶ谷地区でトマトを栽培する雨除けハウス団地で、根群域の土壌水分を一定の範囲内で制御できる自動灌水システムの開発をめざして、実用化試験を行った。灌水開始点と灌水終了点をテンシオメータで判定する試験区、灌水開始点をテンシオメータで判定し、灌水終了時はタイマーで行う試験区、灌水開始点を電気抵抗式水分計で判定し、灌水終了時はタイマーで行う試験区を設定し、各試験区の長所と実用上の問題点を整理した。
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