研究課題/領域番号 |
06660306
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大坪 政美 九州大学, 農学部, 助教授 (80112316)
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研究分担者 |
池田 元輝 九州大学, 農学部, 助教授 (00038283)
筑紫 二郎 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助教授 (00127458)
高山 昌照 九州大学, 農学部, 教授 (60038312)
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キーワード | 水田土壌 / 窒素の除去 / 水稲生育 / 浸透水 / 循環 |
研究概要 |
温室の中でのポット土壌に水稲を栽培し、浸透水の掛け流しと循環の二つの場合について、経時的な土壌間隙水の窒素濃度の変化を調べた。稲を栽培しないポットについても同様の実験を行った。土壌10kgを詰めた1/2000アールのワグネルポットには、1gの窒素肥料が施肥してある。稲無しのポットでのアンモニア態窒素は、掛け流しと循環の場合共に、経過時間によらずおよそ2.5mg/lの値を示した。これは施肥されたアンモニアのほとんどは土壌に吸着され、時間と共に少量ずつ浸透水中に溶出した結果であろう。稲有りのポットでのアンモニア態窒素は、稲による吸収により、およそ20日でほぼゼロとなった。以上の傾向は、浸透速度によらず同じであった。掛け流しにおけるアンモニアの除去率は、稲有りで93-99%、稲無しで73-94%であった。水稲の総収量は、循環と掛け流しの間で、また浸透速度の違いによりわずかな差を示した。 以上に述べたように、土壌に元肥を施した後、栄養塩類を全く含まない水を浸透させたときの、窒素濃度を始めとする化学的性質の経時的変化は、ほぼ把握することができた。ただ、温室の中の高温多湿な環境では、浸透速度を調節するためのチューブに土壌中から溶出する酸化鉄はじめとする可溶性物質が沈着し、浸透速度を正確に制御することが非常に難しかった。今後は、これを克服することが重要な課題となる。
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