本研究は水利施設の一つである落差工のエネルギ減勢システムの過程で起こる流水の騒音の防止対策として、ブロック粗度を用いた急流工によるエネルギの減勢方法、および各種水利施設の流れの形態によって変化する流水音特性について検討するものである。 落差工で発生する流水の騒音については、事例調査からその騒音防止対策としてブロック粗度を利用した急流工によるエネルギの減勢方法を考案し、水理設計を水理模型実験で行って、調査地区にこれを適用した。その結果、かんがい期における騒音値は減少し、本実験によるエネルギの減勢方法は騒音防止対策の一つとして効果があることを示唆している。一方、この流水音に関しては、研究が緒についた状況で、各種水利施設の流れの形態によって変化する流水音特性の解明、および騒音防止対策を行うために必要な流水音の予測がなお重要な課題として残されている。昨年度については、水利施設の一つである跳水型落差工の流水音特性について検討を行った。 そこで、本年度については、さらに水クッション型落差工の流水音を予測する基礎的資料を得るため野外の既設落差工を対象にして現地調査を行い、(1)落下ながれの音響出力と騒音レベル、(2)流水音の減衰特性などの流水音特性について検討した。その結果、落下ながれの音響出力・騒音レベルは、単位幅当りの跳水前における流水の落下エネルギおよびエネルギ損失量に関係し、落下エネルギおよびエネルギ損失量が大きくなると音響出力・騒音レベルは、ともに大きくなることなどがわかった。
|