本年度の研究目的及び研究実施計画に沿って、現有の小型トラクタ(出力4.5kw/2400rpm、ロータリ耕うん幅54cm)を供試して、トラクタの燃料供給経路の途中に、新たに購入した微少流量計(液晶表示8桁、最小表示単位ml)を装着して、各種耕うん作業時における燃料消費量の計測を可能にした。 1.トラクタと被けん引車の間にけん引力計を配備し、燃料消費量とけん引動力を実測した結果、燃料消費量はけん引動力の増加に伴って、ほぼ直線的に増加することが認められた。このことによって、トラクタの実作業出力と燃料消費量の検定曲線が得られた。 2.供試トラクタに畦立器あるいは土寄せ器などを装着して、ロータリ耕うんとけん引作業を同時に行う複合耕うん機能を付加した場合の燃料消費については、それぞれを単独に行う作業に比べてはるかに優位であることが、上記の検定曲線を用いることによって数量的に検証された。 さらに、耕うん法の相違と肥料溶脱の関係を把握するための基礎実験として、作意的に形成した各種土壌硬度における溶脱肥料成分を、新たに購入した土壌養分検定器を用いて検出した。 3.その結果、土壌硬度と溶脱肥料成分の間には明らかに負の相関が認められた。 大要、上記のように耕うんと同時に耕土の表面及び作土下層の押圧を行う複合耕うん機構は、省エネルギー並びに土壌環境汚染の軽減につながることが認められたが、次年度以降には土壌の土性、水分、硬度などの相違が耕うん同時押圧の複合耕うん機構の消費エネルギ並びに溶脱肥料成分に及ぼす影響について、なお一層詳細な検証が必要と判断された。
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