今年度の研究目的及び研究実施計画に沿って、慣行法による外盛慣行成形畦と新たに導入した複合耕うん機構によって成形した内盛表面打圧成形畦の性状の相違を、畦表面の土壌硬度、降雨による雨水及び土砂の流出量並びに肥料の硝酸態窒素成分の溶脱量について比較検討した。 1.畦表面の土壌硬度は、供試圃場の土性、含水比等が同じ場合には、畦成形時から内盛表面打圧成形畦が外盛慣性成形畦より明らかに高く、又、畦成形から期日が経つにつれて、降雨による湿潤と日射による乾燥を繰返すことから、両者の成形畦とも畦表面の土壌硬度はほゞ同程度の増加割合で高くなった。 2.降雨による雨水の畦表面流出量及び土砂の流出量は、ともに内盛表面打圧成形畦が外盛慣行成形畦より多くなった。しかし、雨水の土中への浸透量については、逆に外盛慣行成形畦の方が内盛表面打圧成形畦のそれより多くなった。 3.肥料の硝酸態窒素成分の溶脱量は、上記1.及び2.の結果とも相俟って、外盛慣行成形畦が内盛表面打圧成形畦より明らかに多くなった。このことは、両者の成形畦において甘藷を栽培した栽培畦においても実証された。 大要、上記のように畦の成形と同時に畦表面を打圧する複合耕うん機構を導入して成形した内盛表面打圧成形畦は、肥料の溶脱抑制に効果が認められたが、次年度には畦の成形に要するエネルギ並びに肥料成分の溶脱について、より詳細な検証が必要と判断された。
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