トラクタ用全自動さとうきび2芽苗植付け機の開発に必要な基礎研究を行った結果、以下の知見を得た。 1.さとうきび2芽苗切断部の開発と性能: 茎長150〜180cm、茎径1.9〜2.5cmの精茎から切断長20cmの2芽苗を採取するため、高速切断機に定規ストッパを取付け、精茎の切断実験を行って切断精度を検討した。その結果、曲り度3以下の精茎では2〜3本が連続切断可能であり、切断長20±2cm、毎時1500本(約2.2h/10a)で、切断面は直角に切断され、ささくれもなく良好な切断結果を得た。しかし、曲り度の大きい精茎については今後更に検討を必要とする。 2.苗繰出し部の開発と性能分析: 苗繰出し部は2本の対向するロール繰出し方式を採用した。予備実験の結果、ロール形状は直径20cm、長さ30cmの滑面とし、材質は厚さ0.8mmの天然ゴムを被覆したウレタン製ロールを採用した。その結果、実用的な植付け速度0.4〜0.6m/sに見合った適正な苗繰出し量2〜3本/sを得るにはロール周速度10.5〜11.5cm/s、ロール間隙16mm、苗揺動板の揺動回数60回/minが最適であり、蔗芽の損傷も殆ど見られず、苗繰出し方向も良好である事が判明した。 3.苗植付け部の開発と性能分析: ロールで繰出された2芽苗を溝付きコンベアで一本ずつ送り、耕うん、作条、植付けを一行程で行う植付け部を開発し、作業能率、精度を検討した。その結果、作業速度0.52m/sで植付け率94%、植付け深さ20±2cm、植付け間隔5±1cm、有効作業量22.5a/hを得、植付け姿勢も良好である事が判明した。また、補植装置開発のため、コンベア溝中の苗有無判別センサを取付けて検証した。今後は現地実験で耐久性等を含めて検討する予定である。
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