鹿児島県の南西諸島及び沖縄県の基幹作物であるさとうきび栽培の機械化一貫作業体系の確立を図るため、トラクタ用全自動さとうきび2芽苗植付け機の開発研究を行い、最終的に以下の知見を得た。 1.さとうきび2芽苗切断部の開発と性能:精茎から切断長20cmの2芽苗を採取するため、高速切断機に定規ストッパを取付け、切断性能を検討した。その結果、曲り度3以下の精茎では2〜3本が連続切断可能であり、切断長20±2cm、毎時1500本(約2.2h/10a)で、切断面は直角に、ささくれもなく良好な切断結果を得た。 2.苗繰出し部の開発と性能分析:苗繰山し部は2本の対向するロール繰出し方式を採用し、予備実験の結果、ロール形状は直径20cm、長さ30cmのウレタン製滑面ロールを採用した。その結果、実用的な植付け速度0.4〜0.6m/sに見合った適正な苗繰出し量を得るにはロール周速度10.5〜11.5cm/s、ロール間隔16mm、苗揺動板の揺動回数6c/sが最適であり、蔗芽の損傷も殆どみられず、苗繰出し方向も良好である事が判明した。 3.苗植付け部の開発と性能分析:ロールで繰出された2芽苗を溝付きコンベアで1本ずつ送り、耕うん、作条植付けを一行程で行う植付け部を開発し、作業精度、能率を検討した。その結果、コンベアの振動数6〜15c/s振幅は12mmで苗のならし効果が最も良好であり、繰出しロールからの苗繰出し量は各植付け速度において約104〜106%が最適である事が判明した。また、コンベア下部カバーの改造により、苗の詰りも解消され、植付け速度0.2〜0.6m/sにおいて、植付け率は96〜98%の高い値を得た。 4.植付け精度、能率について:現地での同時耕うんを考慮した実用的な植付け速度0.52m/sにおいて、植付け率98%、植付け深さ18.0cm、植付け間隔3.0cm、有効作業量22.5a/hが得られ、植付け姿勢も良好であり、本試作機は実用性の高い数種であることが判明した。今後はロールの耐久性について検討の余地が残されている。
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