研究概要 |
平成6年度の研究経過は,まず,ソフトウェア開発として,背景を含め生育中の作物の画像データから16階調の濃度共起行列を計算するアルゴリズムの開発を行った.画像の特徴量を出力とし,重力を含む環境パラメータおよびダイナミックモデルにするための出力の一部を入力とするカルマンニューロ計算システムを構築した.ソフトウェア開発と平行してカルマンニューロのトレーニングデータを収集するため,スペーストロンに画像データ収集システムを取り付けた実験システムを構築した.供試作物としてカイワレ大根を用いた,ソフトウェアおよび実験システムが完成した後,直ちに予備実験として作物の生育過程で,テクスチャー解析により得られる14種の画像特徴量の内,特定の作物の生長に伴う変化率が比較的大きいものをいくつか選ぶ生育パラメータの選択をしたところ,「一様性」,「コントラスト」および「局所一様性」の3種のパラメータで成長を表現できる可能性があることが明らかとなった.実験システムを用いて様々に変化する環境条件下で作物を栽培し,ニューロントレーニングに適用可能なデータ収集を行った.トレーニングデータを用いて,最適ニューロ構造の決定を含めカルマンニューロの学習を行った.当初に計画した研究方法および研究計画にしたがって平成6年度は研究が遂行され,ソフトウェアの開発,実験システムの構築,生育パラメータの選択,トレーニングデータの収集およびカルマンニューロによるシステム同定などのいずれのプロセスにおいても予定されていた水準の結果がえられた.特に,テクスチャー解析により得られる14種の画像特徴量の内,カイワレ大根の生長に伴う変化率が比較的大きいものとして「一様性」,「コントラスト」および「局所一様性」の3種のパラメータで成長を表現できる可能性があることが明らかとなったことは大きな成果である.しかし,共起行列の要素間の距離および角度を多様に選択できるという自由度の有効性について平成7年度の研究において明らかにする必要があろう.
|