本年度は、豆類の乾燥特性、乾燥計算や貯蔵に際し最も重要な物性である平衡含水率、熱物性の測定とまとめを昨年に引き続き行い、さらに今年度は豆加工の際重要となる吸水特性について測定を行った。乾燥特性の測定では、昨年度は小豆、菜豆(大正金時)について測定し、今年度は大豆、菜豆(虎豆)の2種類の豆を25〜45℃の温度範囲で5℃ごとに測定した。この測定結果については今回の報告書を基にまとめて投稿する予定である。その他の豆(黒大豆、手亡、菜豆(大正金時))について現在も継続中である。 豆類の平衡含水率の測定については、試料に小豆を用いて新しい方法により測定を行ったが、この方法によると測定期間を大幅に短縮でき、極めて再現性の高いデータを得た。そのため従来までの静的方法だと測定が困難であった90%以上の高湿度雰囲気における測定も可能となった。同じ条件における測定を繰り返し行って極めて再現性の高いデータを得、新しい平衡含水率測定法を確立への道標とすることができた。 豆類の熱物性の測定については、測定データを熱伝導方程式の近似解に非線形最小二乗法を適用して当てはめ、得られたそのパラメータの値とパラメータを構成する非線形連立方程式を解くことにより、熱伝導率と温度伝導率を同時に得、また試料と熱源との接触熱抵抗も同時に算出した。 豆類の吸水特性と体積変化についての測定を大豆、小豆について行い、その吸水過程を拡散理論によって解析した。これより浸漬温度と時間が分かれば、豆の含水率が予測でき、その含水率における密度の測定結果を利用してさらに体積の膨張状態も推定した。
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