研究概要 |
大阪府立大学の実験圃場に造成した芝生地(コウライシバ)において,ガス(NO_2,NO,CO_2,水蒸気)および顕熱のフラックスを秋季と冬季に傾度法を用いて測定した。10月〜11月の秋季においては,NO_2フラックスはほぼ下向きで,昼夜を通じて芝生地がNO_2を収着(吸収+吸着)していることがわかった。下向きのNO_2フラックスは,NO_2濃度の上昇にともない大きくなった。しかし,シバの地上部が枯れ上がった冬季(12月〜1月)には,下向きのNO_2フラックスはかなり小さくなった。一方,NOについては,大気中の濃度が低いこともあり,そのフラックスの絶対値はNO_2に比べてかなり小さく,方向も一定ではなかった。また,NOフラックスでは,NO_2フラックスで認められたような季節変化や大気中濃度との対応関係もみられなかった。CO_2フラックスは,秋季には芝の光合成および呼吸に対応して変化し,昼間下向き,夜間上向きであった。下向きのCO_2フラックスは日射量の増加とともに大きくなった。しかし,地上部が枯れた冬季には,光合成に対応した下向きのCO_2フラックスは測定されなかった。上向きの水蒸気フラックス(蒸発散)は,はぼ日射量に対応して変化したが,冬季は秋季に比べて小さな値となった。このように,NO_2に関しては,芝生地の浄化効果が確認できた。現在,熱収支解析とともに抵抗モデルを用いた解析を行っている。また,裸地との比較実験および風洞内での模擬群落を用いた実験にとりかかっている。
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