植物のマクロな形状が形成される一般的な法則について、異種間や変種間の分枝の法則性が厳密にはどのように異なるかを定量的に評価するため、植物の形状を含めた成長を測定し植物成長モデルを作成した。 平成6年度は、ダイズを対象作物としてその構造について測定を行い、植物の形状と品種、環境条件との関係についてモデル化を行った。測定では、品種、定植時期の異なる6区のダイズについて、各区約50のサンプルを取り、すべての節間長、節数、分枝の有無の測定を行った結果から、さまざまな確率分布をとり、これを元に形状のモデル化を行い、各品種、定植時期の差が形状に及ぼす影響を定量的に明らかにすることができた。ここで用いた手法は、ダイズ以外の作物についても有効であると考えられる。 葉の形状についてもダイズのさまざまな品種の形状を分析し、形状モデルを作成した。軸(茎、枝)のモデルに葉のモデルを付加し、成長モデルの可視化を行い、実際のダイズに近い形状のポリゴンモデルを得ることができた。 平成7年度も、節数、節長の変化と分枝を記録した結果から、節の伸張、分枝の構造の変化などの頻度の確率分布をとり、時系列変化を確率過程により表現することによりモデル化を行った。ダイズ7品種について節間長、サヤの数などについて詳細な形状の測定を行ない分析を行った。その結果、品種毎の特徴あるパターンが明らかになり、節間長とサヤ数には相関が高いこと等、サヤも含めた形状のモデル化に必要なデータを得ることができた。また、テキスチャ解析により画像情報から葉面角度分布を求める手法についても研究を行った。その結果、画像のみから葉傾斜角度分布がかなりの精度で推定可能であり、植物形状と成長の測定に応用可能であることがわかった。 以上のように測定、モデル化、形状ポリゴンの生成、モデルの可視化など、ほぼ予定通りの結果が得られた。
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