研究概要 |
平成6年度は、鶏卵オボムチン(OM)に最も有効な前処理および酵素的加水分解条件で低分子化を試み、糖ペプチド混合物(OGP)を調整し、アフィニティークロマト手法により分画後、結合糖鎖の分画精製とそれらの化学構造を解明することを主として実施し、来年度の生物活性試験へ正確に結びつけることに成功した。以下に、本年度の実施実験項目と研究成果を示した。 (1)OMのペプチド部分の加水分解には、アクチナーゼEが最も優れており、従来加水分解抵抗性と言われた本糖タンパク質の低分子化に成功し、OGPを大量に調整した。 (2)著者等が最近新しく開発してリゾチーム・アフィニティークロマトグラフィー(Saito et al.,Anim.Sci.Technol.,65,624(1994))の新手法により、OGPより中性(アシアロ糖ペプチド)、酸性(シアリル糖ペプチド)および強酸性(シアリル硫酸化糖ペプチド)を大量に分画調整することが出来た。 (3)これらの糖ペプチドのアルカリ還元反応により、結合していたムチン型(O-グリコシド型)糖鎖の全てを化学的に遊離させ、中性糖鎖(群)は高性能ゲル濾過法により分画精製を進め、4種の糖鎖を単離することが出来た。。また、酸性糖鎖(群)はイオン交換クロマトグラフィーでの主要画分のみを、新条件でのアシドシリカ系カムラを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分取を行い、4種の糖鎖を単離することが出来た。 (4)各種糖鎖の化学構造は、GLCによる糖質組成分析、FAB-MASによる分子量と配列順序分析、GC-MSによるメチル化分析および^1H-および^<13>C-NMR分析等により総合的に検討し、文献未報告の新たな3種の中性糖鎖と3種の酸性糖鎖の存在およびこれらの存在比(%)を初めて明らかにすることが出来た。
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