1.シロクローバの2品種(大葉品種Kopuと小葉品種Tahora)を使い、RAPD法によりこれら2品種を識別できるか否か、さらにクローンを識別できるか否かを検討した。多数のプライマーをスクリーニングした結果、10種類のプライマーが有望であった。これらのプライマーの分析結果を組み合わせることにより、2品種を識別できること、さらにクローンも識別できることが確認された。酵素多型分析を併用することで、比較的安価に品種・クローンを識別することが可能である。 2.造成後2年目のペレニアルライグラス型草地で、放牧システムを違えた要因実験を実施した。慣行放牧区と超集約放牧区において、先述のシロクローバ2品種の生存率・成長量を分析した。その結果、慣行放牧区の成績は大葉品種>小葉品種、集約放牧区では小葉品種>大葉品種の傾向にあった。しかし、大葉品種は可塑性が大きいため、集約放牧区で矮小化し、小葉品種に類似した体制を示した。 3.シバ型草地(草地試験場山地支場に所在)における有利なシロクローバクローンの体制を評価した。これまでの情報から、シバ型草地におけるクローンの成功に、パッチ内競争に有利であることが必須であると指摘される。それゆえ、「大葉クローンがパッチ内競争に有利である。大葉クローンがパッチ内にわずかでも含まれるなら、それが急速に成長して優占する。」という仮説をたてて検証した。その結果、この仮説がおおむね支持された。しかし、気象変動によって結果が大きく左右されることが確認された。
|