ホロホロチョウにおける産卵の生理機構を明らかにする目的で、卵胞発育、排卵時間、排卵後の卵の卵管各部の滞留時間及び卵管子宮部における卵殻腺液中のCa濃度について検討した。その結果、卵胞の急速成長日数は7日から11日の範囲であり、調査卵の卵胞急速成長日数の平均は、8.8日であった。これらの卵の卵黄の直径は、卵胞の急速成長日数が10日までは、急速成長日数が長い程大きいという傾向が認められた。また、1日当たりの卵黄の蓄積量は、急速成長日数が7日の卵黄では排卵日まで直線的な増加を示したが、8日以上の卵黄では、排卵日の2〜3日前の蓄積量が減少する傾向が認められた。排卵時間について連産の第2卵以降の卵について検討した結果、排卵は前卵の放卵後15分以内に起こるものと推察された。卵管各部の卵の滞留時間は、漏斗部が約15分、膨大部が約2時間45分、峡部が約1時間程度であると推察され、平均放卵間隔が24時間22分であったことから、子宮部及び膣部の滞留時間は約20時間7分程度であるとみなされた。これらの値は、ニワトリの場合と大差ないものと思われることから、厚い卵殻及び卵黄に対する卵白の比率が小さいというホロホロチョウ卵の特徴は、卵管の卵殻形成機能及び卵白分泌機能に基づくものと推察された。また、放卵後18時間において、卵管子宮部で分泌された卵殻腺液中のCa濃度を測定した結果、総Ca濃度は151μg/ml、イオン化Ca濃度は96μg/mlであった。これらの値は、ニワトリの場合と大差なかった。
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