研究概要 |
羊から分離したNeocallimastix sp.N13について培地へのアミノ酸添加が生長に及ぼす効果を検討した。N13株はろ紙(東洋ろ紙No.1)を炭素源としたJoblin(1981)の培地で6日ごとに継代保存したものを用いた。Joblin培地からルーメン液、イ-ストエキストラクト、トリプチケース、システインを除き、ルーメン細菌用のビタミン溶液、VFA溶液、硫化ナトリウムを添加し、窒素源を硫酸アンモニウムとしたものを基礎培地とした。アミノ酸は1O種の必須アミノ酸(Arg,His,1le,Leu,Lys,Met,Phe,Thr,Trp,Val)(1OEA)、8種の非必須アミノ酸(A1a,Asp,Cys,GIu,GIy,Pro,Ser,Tyr)(8NEA)およびこれら全部合わした18種のアミノ酸の等モル混合物(18A)をつくり、それぞれ等N量となるように基礎培地に添加してアミノ酸添加塔地とした。 18A,10EA,8NEAの添加(5mg/ml)は無添加に比べ有意に生育量を増加させ、とくに18Aは効果的だった。.18Aから合硫アミノ酸を除くと生育量は有意に低下した。18Aから芳香属アミノ酸や分枝鎖アミノ酸を除いても同様な傾向が認められたが、合流アミノ酸の場合ほどではなかった。18AからMet,Cysのどちらか一つを除いても生育抑制がみられ、両方とも除いてNa_2S0_4を加えても効果がみられなかったが、Na_2Sを加えると幾分回復かみられた。 0rpin and Greenwoodが効果的としたGIu,Met,Serの添加では効果がみられなかった。ルーメン細菌のinvitro増殖に効果的な組合せLeu,Met,Hisの添加は3日目までの生育量では18Aと変わらなかった。 以上の結果からNeocallimastix sp.N13はアミノ酸無しでも生育できるが、多種類のアミノ酸の存在は生育を著しく促進し、とりわけ含硫アミノ酸への要求は高く、しかもそれは無機の硫化物では代替できないことが明かで、同じNeoca1limastix属でもアミノ酸要求は多様であることを示唆した。
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