前年度において得られた知見をもとに主たるカロテン・カロテノイドを選定し、これらがプロトゾア、バクテリア、及びその混合系の各培養系において、どの様な変化を受けるのかをHPLCを用いて検討した。同時に、各微生物の増殖及びアミノ酸合成能を指標として、ルーメン微生物への影響についても検討を行った。 (1)前年度において得られた知見に基づいて、当面対象とするカロテン・カロテノイドを選定した。すなわち、飼料中における存在割合が高く栄養学的意義の持たれている芳香族系カロテノイド:βカロテン、水酸基置換カロテノイド:キサントフィル、ケト基置換カロテノイド:アスタキサンチンを用い以下の実験に供した。 (2)ルーメン液からプロトゾア、バクテリア分離し、プロトゾア、バクテリア、及び両者を混合した各培養系についてカロテン・カロテノイドを添加し、その経時的変化をHPLCによって追跡した。その結果、プロトゾア画分において、カロテノイド類の減少が認められた。 (3)(2)と同時に、プロトゾアの生存率に与えるカロテノイドの影響を検討した。さらに、微生物の必須アミノ酸代謝能へ与える影響についての予備的な検討を行った。 以上のデータを総合的に評価・考察し、最終年度である平成8年度研究への基礎・資料とした。
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