1反芻家畜として牛及びヤギから採取したルーメン液中に含まれるカロテン・カロテノイドを高速液体クロマト(HPLC)を用いて、分離、同定、定量を行い、ルーメン中における主なカロテン・カロテノイドを明らかにした。即ち、フィスチュラを装着し、一定の飼育条件にある牛並びに山羊より採取したルーメン液から固形物をガ-ゼで濾過して除去した液中のプロトゾア・バクテリアを分画し、各画分についてHPLCを用いてカロテン・カロテノイドを測定した。給与中の飼料についてもカロテン・カロテノイドの分析を行った。給与後、経時的に分析を行い、飼料に主に含まれるカロテン・カロテノイドの種類と量が、ルーメン液及び各種ルーメン微生物によってどのように変化し、取り込まれているのかを明らかにした。 2続いて、構造的に異なるカロテン・カロテノイド数種を選定し、これらがプロトゾア、バクテリア、及び両者を混合した系の各培養群において、どのような変化を受けるのかをHPLCを用いて経時的に追跡し、同時に各微生物の生存率の変化、増殖曲線及びアミノ酸合成能を調べる事により、ルーメン微生物への影響についても明らかにした。 3ルーメン液やルーメン微生物中のカロテン・カロテノイド画分に、牧草中では認められない代謝・分解生成物と思われる幾つかの未知画分を検出した。一般にカロテノイドにおいては個々の同定が困難なため同定するには至らなかった今後解明したい。 4ルーメン液中に含まれるカロテン・カロテノイドを高速液体クロマト(HPLC)を用いて、分離、同定、定量を行い、ルーメン中における主なカロテン・カロテノイドを明らかにすることができた。とくに、各分析段階について技術的手技的問題点を概ね解決することが出来た。
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