鳥類の特異組織である骨髄骨に存在する骨形成細胞は性ホルモン、特にエストロジェンとアンドロジェンに反応することが示唆されている。これらの細胞の性ホルモン支配を詳細に知るために、骨髄骨からこれらの細胞を分離・培養することが試みられているが、骨髄細胞の混入が避けられず、また多量の細胞を得ることが困難である。したがって、性ホルモンに速やかに反応し、骨髄骨形成能を有する純粋な細胞を多量に分離・培養する必要がある。それ故、性ホルモン処理を施したウズラ胚のCalvariaから骨形成細胞の分離・培養を試み、これらの細胞の骨髄骨形成能を調べた。 孵卵9日齢のウズラ胚に17β-エストラジオールとテストステロンを単独もしくは併用投与し、孵卵14日齢のCalvariaをコラゲナーゼ処理し、Calvaria表面の細胞を分離した。これらの分離した細胞をウエル付きスライドガラスとウエル付きデッシュに4×10^3cell/cm^2を播き、10%FCSを含むD-MEM培養液で48時間培養した。性ホルモンが骨形成細胞に及ぼす影響を知るために、骨形成細胞の指標であるアルカリ性ホスファターゼ活性を有する細胞の割合を調べたところ、17β-エストラジオール投与区78.19%、テストステロン投与区70.19%、17β-エストラジオールとテストステロン併用投与区74.99%および無投与区66.91%であった。また、ウエル付きデッシュで14日間培養して、nodule形成を調べたところ、性ホルモン投与区では無投与区に比べてnoduleの数も多く、しかもこれらのnoduleはvon kossa染色陽性で十分に石灰化していた。特に、17β-エストラジオール投与区において顕著であった。以上のことから、性ホルモン投与したウズラ胚のCalvariaから分離培養した骨形成細胞は性ホルモンに速やかに反応して増殖・分化し、骨形成能を有していることが示唆され、今後の骨髄骨の研究に応用できることが窺えた。
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