標記研究課題の研究を実施し下記の成果が得られた. 1.インターロイキン6(IL6)産生性鶏Tハイブリドーマの樹立 著者らによって作出されたチミジンキナーゼ欠損鶏T細胞株を用いた融合実験から、2株7クローンの鶏Tハイブリドーマを樹立し、それらの性状を調べると共にそれらの培養上清中のB細胞増殖活性を調べ、以下の結果を得た。 (1)7クローンのTハイブリドーマはいずれもCD4(+)CD8(-)であったことから、ヘルパーTクローンと判断された。 (2)融合用親株と7ハイブリドーマクローンについて、それぞれの培養上清を調整し、それらの鶏Bハイブリドーマに対するin vitroにおける細胞増殖活性を調べたところ、7ハイブリドーマクローンのうち1クローンに高い細胞増殖活性を認めた。 2.鶏IL6の遺伝子解析 著者らの研究室で維持されている2種類の鶏単球/マクロファージ系細胞株(IN24およびHD11)および先に示した鶏Tハイブリドーマを用いて、哺乳動物IL6塩基配列をもとにプライマーを合成し、鶏IL6の遺伝子解析を実施した。 (1)テンプレートとして、上記2種の(LPS刺激)細胞株とTハイブリドーマRNAを用い、複数種の組み合わせのプライマーを用いてRT-PCRを実施したところ、予想された位置に多数のバンドが検出された。これらをクローニングし塩基配列を決定し、最終的に4クローンがヒト、マウスおよびラットIL6とアミノ酸レベルで比較的ホモロジーが高かった。 (2)上記クローンDNAを^<32>P標識し、上記3種の細胞RNAを用いたノーザン解析を行ったところ、1つのプローブで3種の細胞に約3.0kbpのバンドが検出された。 以上の鶏IL6に関する2つの実験結果は、鶏においても哺乳動物同様IL6ga存在する可能性を強く示唆しているものと考えられた。
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