研究概要 |
平成7年度は研究計画通り,ウマで炎症生疾患の診断に特に有用性が高い血清アミロイドA蛋白(SAA)の微量定量法であるサンドイッチELISA法および簡易測定法であるスライド逆受身ラッテクス凝集反応(RPLA)法の開発を行った。 SAA濃度を定量するためのサンドイッチELISA法:精製ウマSAAを家兎に免疫して得られた抗ウマSAA血清をアフィニティクロマトグラフィーで精製した精製抗体を用いて,サンドイッチELISA法を行うことにより,特異性が高く,良好な再現性が得られた。ここで確立したELISA法と単純免疫拡散法で得られた測定結果を比較したところ,両者の間には高い相関性が得られた。 SAA濃度を半定量するためのRPLA法:精製ウマSAA濃度を臨床の場でより実用的な応用が可能な簡易半定量法であるRPLA法の諸条件を検討し,測定法を確立した。アフィニティークロトマグラフィーで精製した抗ウマSAA抗体を250ng/cm^2latexの割合で粒系0.2μmのラテックス粒子に感作後,1%の割合でグリシン緩衝液に懸濁させ,室温で60分反応させて肉眼で凝集を判定した。なお,濃度判定の一次標準にはSAA陽性HDLを使用した。今回確立したRPLA法は半定量法であるが,迅速,簡便で再現性も良好であった。また,本法の結果とサンドイッチELISA法で得られら測定結果を比較したところ,両者の間に高い相関が得られた。 総括:ウマでは炎症に対する反応性が最も速い蛋白はSAAでありELISA法やRPLA法は臨床の現場でも有用なSAA濃度測定法と考えられた。また,ウマやイヌの実験結果から,SAAの様な急性相蛋白のプロモーターとしてのサイトカインとして,IL-6が最も重要と考えられた。
|