研究概要 |
前年度の試験で用いた異性双子として生まれ,染色体およびPCR法によってフリーマーチンと診断された9頭(FM群)と,異性双子として生まれたが染色体およびPCR法によって正常雌牛と診断された1頭および単子で出生した雌牛4頭の計5頭(Normal群)を材料とした.これら生後4カ月齢の14頭にPMSGを1,000IU,1.5ないし2日後にhCGを1,500IU投与して,投与後14日まで隔日に採血し,血中estradiol-17β(E_2)値およびprogesterone(P)値をRIA法によって測定した.同時にEIAキット(オブチェックEIAキット)によって血中P値の測定を試みた. その結果,Normal群ではホルモン処置後に血中E_2値は上昇を開始し、8日にはピークに達して,その後は減少した.また,P値はE_2値の上昇に伴って上昇し、12日にはピークに達した.それに対して異性双子で出生し,性染色体キメラを示すFM群では血中E_2とP値のいずれも低い値で推移した. この結果より,異性双子で出生した雌牛の繁殖性を出生後の早期に調べる方法の一つとして,ホルモン処置とその後の血中性ステロイドホルモンの測定が有効であること,およびEIAキットを用いて血中P値を測定することにより簡便に判定できることが示唆された.
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