家畜における超音波断層装置の新しい利用法として、種々の妊娠日数における牛胎子の性判別を実施し、診断の客観的な数量化を試みるとともに、実用的な性判別診断 のガイドラインを作製した。また、超音波ガイドにより穿刺採取した牛羊水中の浮遊 細胞のDNAをPCR法により増幅し、Y染色体特異的DNA配列に基づくプローブ を利用して性判別の確定診断を行った。 その結果、超音波断層法による性判別については、述べ100頭の牛について調査を行い、生殖結節の位置により性判別が可能であった。生殖結節が臍帯の後方にあれば雄で、後肢の後方で尾の前方にあれば雌と判定された。また、臍から生殖結節までの距離は妊娠54日目から雌雄に差が見られ、それ以降の超音波診断で性判別が可能となることが明らかとなった。PCR法による牛羊水中DNA解析では、これまで10例について穿刺を行い、いずれからも羊水の採取が可能であった。また、採取された羊水中の浮遊細胞をPCR法により増幅しY染色体特有プローブにより性判別が可能であった。 平成7年度は以下の項目について実施する。 1)超音波断層法による性判別 前年度に引き続いて、乳牛および黒毛和牛をもちいて超音波断層像による胎子の性判別を行う。 2)PCR法による牛羊水中DNA解析 前年度に引き続いて、超音波ガイド下に妊娠60〜90日の牛より羊水を無菌的 に採取し、PCR法による牛羊水中DNA解析により胎子の性判別を行う。 3)成果の取りまとめ 2年度にわたる研究成果を取りまとめ、学会発表するとともに研究報告書を作成する。
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