研究概要 |
妊娠末期の乳牛56頭を3群に区分し、A群の25頭には妊娠274日目に持続性副腎皮質ホルモン(DEX-I)を投与し、278日目の22:00または279日目の9:00にプロスタグランディンF_2α(PGF)を投与した。B群の16頭にはDEX-Iの投与は行わず、278または279日目にA群と同様にPGFを投与した。C群の15頭は無処置対照とした。 1.分娩計画日の妊娠280〜281日に分娩したものの割合は、A群で95.5%,B群で62.5%,C群では6.7%であった。したがって、DEX-IとPGFの組み合わせにより、従来の方法よりも確実に計画分娩を行いうることが明らかとなった。 2.胎盤停滞の発生率は,A,B,Cの各群で、それぞれ、75,60,26%であり、DEX-IとPGFの併用は、分娩誘発に伴う胎盤停滞の発生の予防にはほとんど効果がないことがわかった。 3.分娩誘発処置は母牛にとって新たなストレスとはならないことが示された。 4.分娩誘発は新生子に対しても新たなストレスとはならず、初乳中のガンマグロブリンの吸収にも悪影響がないことが明らかとなった。 以上のように,DEX-IとPGF併用によって安全確実に計画的に分娩を誘発できることが明らかとなった。しかし、胎盤停滞の発生を予防することは困難であり、今後この問題についての検討と、分娩後の繁殖成績におよぼす影響についての調査研究を行う計画である。
|