研究課題/領域番号 |
06660410
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
中尾 敏彦 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (30094824)
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研究分担者 |
中田 健 酪農学園大学, 酪農学部, 助手 (10241069)
森好 政晴 酪農学園大学, 酪農学部, 講師 (90166455)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 牛 / 分娩誘発 / 副腎皮質ホルモン / プロスタグランデインF_2α / 胎盤停滞 / 計画分娩 / retained placenta |
研究概要 |
牛ではプロスタグランジン(PG)1回投与により分娩を誘起できるが、胎盤停滞が高率に発生する。胎盤停滞例では子宮の細菌感染を起こすことが多く、分娩後受胎までの期間が延長する傾向がある。また、PG投与から分娩までの時間にばらつきが大きいことも問題となっている。そこで、PG投与前に、副腎皮質ホルモンを投与し胎盤の成熟を促すことによって、PGによる分娩誘起後の胎盤停滞を減少させ、PG投与後一定の時間に分娩させることが可能かどうかを明らかにする目的で、まず、PG投与4または5日前に副腎皮質ホルモン投与を行ない、その効果を調べた。すなわち、妊娠末期の乳牛56頭を3群に区分し、25頭には、妊娠274日に持続性副腎皮質ホルモン(Dexamethasone-lsonicotinate;DEX)を投与し、278または279日にPG類似体(Cloprostenol;PG)を投与した。他の16頭にはPGのみを投与した。残りの15頭は無処置対照とした。その結果、DEXとPGの組み合わせにより、PG投与から分娩までの時間が一定化されたが、胎盤停滞は減少しなかった。そこで次に、この投与間隔を7日間とすることによって、胎盤の成熟がより促進され、胎盤停滞の減少が見られるかどうかを調べた。供試牛は、妊娠末期の乳牛58頭で、これらを無作為に3群に区分した。A群の22頭には、妊娠272日目にDEXを投与し、7日後にPGを投与した。B群の20頭には妊娠279日目にPGのみを投与した。C群の16頭は無処置対照とした。DEX前投与により、PG投与から分娩までの時間は短縮され、一定の時間に集中したが、胎盤停滞は減少しなかった。新生子および母牛の健康、乳生産および繁殖成績などへの悪影響は認められなかった。結局、今回の方法は、胎盤停滞予防にはあまり効果がないものの、分娩の同期化には効果が高いことが明らかとなった。したがって、胎盤停滞の適切な処理を行なうことによって、DEXとPGの併用による計画分娩の実用化は可能と考えられる。
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