研究課題/領域番号 |
06660411
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
渡辺 清隆 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (50158622)
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研究分担者 |
折野 宏一 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (60214235)
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キーワード | 小型ピロプラズマ病 / Theileria sergenti / 血清鉄 / 鉄代謝 / トランスフェリン / トランスフェリン飽和度 / ラクトフェリン / フェリチン |
研究概要 |
5〜6カ月齢のホルスタイン種雌牛を2週間小型ピロプラズマ病汚染牧野に放牧してTheileria sergenti(Ts)に自然感染させ、血清鉄および鉄代謝に関連する鉄結合タンパク質トランスフェリン(Tf)、ラクトフェリン(Lf)およびフェリチン(Ft)の動態を調べた。 1.感染牛では貧血に伴い血清鉄濃度は250μg/dl以上に上昇するとともに、Tf飽和度は90%以上に達した。一方血清Tf濃度は減少傾向を示した。非感染牛のTfa/Tfb比が約1.0であったのに対し、感染牛のTfa/Tfb比は約2.0に増大し、貧血に伴うTfの質的変化が認められた。 2.血清Ft濃度は貧血に伴い漸増し、赤血球Ft含量はMCVの増加し始めた時期と一致して急激に増大し対照牛の200倍以上に達した。感染牛の単核細胞Ft含量は赤血球Ft含量の上昇時期に先行して増加し、対照牛の6倍以上に達した。 3.感染牛の血漿Lf濃度は徐々に減少し、非感染牛の約1/3のレベルまで低下した。 以上の結果から、タイレリア病発症牛においては貧血に伴い鉄輸送量に大きな亢進が見られ、これはTf濃度の上昇ではなくTf飽和度の増大により遂行されると考えられ、また、血清Ftも鉄輸送に一部関与することが示唆された。感染牛では、赤血球のみならず単核細胞のFt含量にも大きな増大が見られ、リンパ球および単球の活性化が示唆された。また、血漿Ltレベルが低下したことから顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の産生抑制が解除され、myelopoiesisが亢進していると考えられた。
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