研究課題/領域番号 |
06660411
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
渡辺 清隆 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (50158622)
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研究分担者 |
折野 宏一 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (60214235)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 小型ピロプラズマ病 / Theileria sergenti / 血清鉄 / 鉄代謝 / トランスフェリン / トランスフェリン飽和度 / ラクトフェリン / フェリチン |
研究概要 |
1.牛の脾臓からフェリチン(Ft)を、血清からトランスフェリン(Tf)を、またミルクからラクトフェリン(Lf)を高純度に精製し、それぞれの鉄結合タンパク質に対するウサギ抗血清を調製した。TfおよびLfは天然状態では免疫学的にほとんど交差反応しなかったが、変性状態では両者は明らかに交差反応した。 2.アフィニティ精製抗体を用い、それぞれのタンパク質を測定するためのサンドイッチELISAを開発した。 (1)健常な非妊娠雌成牛の平均血清Ft濃度は46±28ng/ml(n=69)であった。(2)ヘパリンは好中球を刺激してLfを遊離すること、また血液凝固過程で好中球からLfが遊離することから、血中Lf測定に関しては、EDTA血漿を用いる必要があった。健常な非妊娠雌成牛における平均血漿Lf濃度は169±63ng/ml(n=16)であり、平均血清Tf濃度は2.86±0.43mg/ml(n=72)であった。 3.5〜6カ月齢のホルスタイン種雌仔牛を2週間小型ピロプラズマ病汚染牧野に放牧してTheileria sergentiに自然感染させ、血清鉄および鉄代謝に関連する鉄結合タンパク質Tf、LfおよびFtの動態を調べた。 (1)感染牛では貧血に伴い血清鉄濃度は250μg/dl以上に上昇するとともに、Tf飽和度は90%以上に達した。一方血清Tf濃度は減少傾向を示した。非感染牛のTfa/Tfb比が約1.0であったのに対し、感染牛のTfa/Tfb比は約2.0に増大し、貧血に伴うTfの質的変化が認められた。(2)血清Ft濃度は貧血に伴い漸増し、赤血球Ft含量はMCVの増加し始めた時期と一致して急激に増大し対照牛の200倍以上に達した。感染牛の単核細胞Ft-含量は赤血球Ft含量の上昇時期に先行して増加し、対照牛の6倍以上に達した。(3)感染牛の血漿Lf濃度は徐々に減少し、非感染牛の約1/3のレベルまで低下した。
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