研究概要 |
ゴキブリの主要アレルゲンの測定法を確立した。空中アレルゲンは微量のため、高感度の測定方法が必要であるため、アイソトープよりも感度のよい蛍光基質を用いた免疫化学的方法(酵素抗体法)を用いた。この測定系を用いて家庭内のゴキブリアレルゲンの測定を行なった。ゴキブリアレルゲンは10軒中8軒に認められた。また、居間、台所、寝具のごみ中のゴキブリアレルゲンは台所で最も高かったが、いずれに場所でもダニアレルゲンに比べて、低かった。また、空中アレルゲンは検出できなかった。これはダニに比べ、ゴキブリのアレルゲン量が少ないため、測定できなかったものと思われる。今後、ゴキブリを大量に飼育している所、すなわち、実験動物として飼育しているような環境でのゴキブリアレルゲン量を測定する予定である。 また、ゴキブリアレルゲンに対する感作状況を調べるため、喘息児171名のゴキブリに対するIgE抗体陽性率を測定した。喘息児171名のクロゴキブリおよびチャバネゴキブリとダニに対するIgE抗体をCAP法で調べたところ、喘息児の特異IgE陽性率はクロゴキブリ16%,チャバネゴキブリ9.9%とダニ85%に比べ、低かった。 以上の結果より、日本においてはゴキブリアレルゲンはダニアレルゲンに比べて、あまり重要なアレルゲンとは言えないことが判った。
|