研究概要 |
ニンジン培養細胞のアントシアン合成及び合成に関わる鍵酵素PAL,CHSのmRNAの合成がUV-B光受容体を介してUV-B光により制御されることがわかっている。本研究では、PAL遺伝子(4つあるPAL遺伝子中UVによりすばやく発現するpal-10,pal-54)の発現についても同じことが成立しているか否かを調べた。ルシフェラーゼをレポータ遺伝子としたpal-10プロモータに関する各種融合遺伝子を作成し、トランジェントアッセイ法を用いプロモータ活性をUV域の単色光を用いて評価した。 pal-10,pal-54(-395下流はpal-10と同一の遺伝子)全長のプロモータはUV域の光によりその発現が著しく促進され、光量-反応曲線及び作用スペクトルからUV-B光受容体の関与が示唆された。したがってプロモータの部分的欠損によりUV-B responsive elementの同定が可能である。また最近pal-54の-395上流にはトランスボゾンの挿入が認められたので以下の実験は主としてpal-10について行った。pal-10プロモータの欠損種としては、-567,-395,-285,-160,-145,-89,-45等を作成した。暗所下での発現から-2432〜-567間にマイナスのエンハンサーがあり、-395下流には欠損が進むにつれプロモータ活性も減少するのでエンハンサーが存在するものと考えられる。-395下流にはHahlbrock等が示したUV-responsive elemennt様配列を数個含み、それらがUV域の光による発現に寄与していることが明らかになった。さらに定量的な解析をCaMV 35S core promoterとのpromoter fusionを作成し解析中である。-395〜-567には、上述のUV-responsive element様の配列をふくまないが、UV域の光により発現の促進がみられる。これについては現在解析中である。
|