1)去勢動物における下垂体の濾胞星状細胞の形態学的な解析 去勢動物では性腺刺激ホルモン産生細胞が機能亢進と細胞増殖を示す。特に、細胞分裂は去勢1-3週目が顕著でその後、著しく減少する。一方、濾胞星状細胞は去勢に伴って徐々に細胞数を増加し、性腺刺激ホルモン産生細胞を包み込むようになる。特に、去勢4週間でその変化が顕著になった。この現象は去勢4週目で性腺刺激ホルモン産生細胞の細胞分裂が減少する事を考えると、濾胞星状細胞が性腺刺激ホルモン産生細胞の増殖制御に何らかの関連を持つことが示唆される。 2)老化ブタ下垂体におけるコロイド濾胞と濾胞星状細胞との関連 老化ブタ下垂体ではPAS陽性のコロイドを持った濾胞が数多く形成される。この濾胞はS-100タンパク質陽性の細胞から構成され、濾胞星状細胞によって作られるものと考えられる。この濾胞について組織学的な観察を行ったところ、老化にともなって出現する類デンプン小体とは異なる成分からなることが明らかになった。また、コロイドの糖を同定するためにレクチンによる染色を行ったところ、PHAやMAMで染色され、シアル酸を多く持つことが明らかになった。一方、老化ブタ下垂体は通常のブタ下垂体と比較して、その重量が4倍大きい。また、下垂体にはプロラクチン細胞が多く認められた。このプロラクチン細胞は、コロイドを持った濾胞に近接して多く存在していた。恐らく、老化ブタ下垂体に於けるプロラクチン細胞の増加と、濾胞星状細胞との間には何らかの関連が有ることが示唆された。今後、プロラクチン細胞の増殖と分化を制御する因子の解析を進める必要がある。
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