1)濾胞星状細胞と下垂体腫瘍の形成 マウス濾胞星状細胞培養株(TtT/GF)とラット下垂体成長ホルモン細胞腫瘍(MtT/S)をヌードマウスに移植する実験を行った結果、濾胞星状細胞は下垂体腫瘍の形成を著しく促進した。このことは、濾胞星状細胞から何らかの増殖因子を分泌するか、血管形成などの微環境にかかわる因子を分泌することによるものと考えられた。 2)濾胞星状細胞と下垂体前葉細胞の増殖 濾胞星状細胞(TtT/GF)の順化培地を使用し、下垂体ホルモン産生細胞株の培養系に作用させたところホルモン産生細胞株の細胞増殖が促進した。この因子については現在継続して研究中。 3)去勢動物における下垂体の濾胞星状細胞の形態学的な解析 去勢動物では性腺刺激ホルモン産生細胞が機能亢進と細胞増殖を示す。これに伴って、濾胞星状細胞は去勢に伴って徐々に細胞数を増加し、性腺刺激ホルモン産生細胞を包み込むようになる。特に、去勢4週間でその変化が顕著になった。この現象は濾胞星状細胞が性腺刺激ホルモン産生細胞の増殖制御に何らかの関連を持つことが示唆される。 4)老化ブタ下垂体におけるコロイド濾胞と濾胞星状細胞との関連 老化ブタ下垂体ではPAS陽性のコロイドを持った濾胞が数多く形成される。濾胞星状細胞によって作られるものと考えられる。組織学的な観察では、老化にともなって出現する類デンプン小体とは異なる。また、レクチンによる染色では、PHAやMAMで染色され、シアル酸を多く持つことが明らかになった。一方、、老化ブタ下垂体は通常のブタ下垂体と比較して、4倍大きい。また、プロラクチン細胞が多く認められた。このプロラクチン細胞は、コロイドを持った濾胞に近接して多く存在していた。
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