研究概要 |
本年度は、筋形成因子および筋蛋白質のmRNAの出現順序、ならびに骨格筋の筋原線維を構成する各筋蛋白質の出現順序を解明した。材料にはニワトリ胚を用い、前者は胚の全載標本のin situ hybridization法により、後者は胚頸部の凍結横断切片の蛍光顕微鏡観察により調べた。 1.筋形成因子と筋蛋白質のmRNAの発現順序:Myf‐5, MyoD, myogenin,心筋型troponin C(CTnC)のmRNAは、それぞれHamburger‐Hamiltonのstage7+,10,11および12に出現した。 2.筋蛋白質の発現順序:筋蛋白質はつぎの5つの時期に分かれて出現するのがみられた。desminとFactinはstage 11、 connectinとα‐actininはstage 12、 myosin heavy chain, zeugmatin, CTnCおよびtropomyosinはstage 14、そして最後にnebulinの出現はstage 15であった。 すなわち、MyoD familyのmRNAは筋節細胞の出現の前(Myf‐5とMyoD)あるいは出現と同時(myogenin)に、またCTnCmRNAはその蛋白質より1 stage前に発現するのがみられた。さらに筋原線維を構成する筋蛋白質は同時には出現しないこと、また親型の筋蛋白質isoformの発現は、筋原線維を構成する主要蛋白質の発現の完了を必要としないことが明らかとなった。 次年度(最終年度)には、筋細胞内における筋蛋白質の発現順序とその三次元的分布、ならびに構造への組立の順序を解明し、3年間の成果をまとめて筋原線維形成の分子機構を形態面から明らかにする。
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