研究概要 |
膵島ホルモンが膵外分泌組織の発達に及ぼす影響について、マウスに^3H-ロイシンを投与後、ラジオオートグラフィーによる研究を行い、膵島近傍の腺房細胞は膵島から離れた腺房細胞に比べて分泌タンパクの合成が盛んであること、ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスではこの現象では見られなくなることから、いわゆるperi-insular haloはB細胞の分泌物(主としてインスリン)の作用によって惹起されるタンパク合成能の亢進の形態学的表現であることを明らかにした。さらに剖検材料を用いてアミラーゼの免疫組織化学を行うことにより、ヒトで膵臓では初めてperi-insular haloを機能的に証明した。 消化器の組織形成・細胞分化にはギャップ結合が密接に関わっている。ラット胎仔の膵臓を成長因子等を含まないdefined medium中で培養すると、外分泌組織はin vivoにおけると同様の時間的経過で分化し、ギャップ結合も同時に形成されることから、膵外分泌部の分化は自律的に起こること、またこの系では膵島は発達しないので、膵島の分泌物は腺房細胞の分化ではなく、分化した腺房細胞の構造と機能の修飾に関わることが推察された。 培養BRMHD-1細胞におけるギャップ結合の形成は、弱いcAMP依存性を示す.培養液中にTunicamycinを添加するとギャップ結合形成は促進されて多数の大きいギャップ結合が細胞間に形成される。一方、Brefeldin Aを添加すると、ギャップ結合の形成はほぼ完全に抑制される。これはゴルジ装置による糖付加が、ギャップ結合タンパクの細胞膜への移動を抑制していることを示唆する。 げっし類の遠位結腸に存在するvacuolated cellsはヒトではしばしば見逃されてきたが,ヒト下行結腸にも恒常的な細胞型として存在する。しかし細胞の粘膜内分布や分泌物の複合糖質は、げっし類のそれとは異なることを明らかにした。
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