心房性ナトリウム利尿ホルモン(ANP)のソーティング機構を研究するために、研究計画調書に記載したように(1)ANPと複合体を作る蛋白質の検索及び(2)分泌顆粒の膜に結合している蛋白質の分析同定を行なった。 (1)培養心房筋細胞を〔^<35>S〕メチオニンでラベルした後、抗ANP抗体でANPと共に沈降してくる蛋白質をSDS-PAGE/フルオログラフィーにて分析した。その結果、いくつかの蛋白質がANPと共に沈降してきたが、超微量の為それらの蛋白質を同定するまでには至らなかった。 (2)ラット心耳よりパーコール密度勾配超遠心法により分泌顆粒の分画を得、分泌顆粒の膜にassociateしている蛋白質の検索を行なった。電気流動によって蛋白を分離後ニトロセルロース膜に転写し、GTPのoverlayアッセイを行なった。その結果、分泌顆粒の膜に結合していると思われる4種類のGTP結合蛋白質が見い出された。これらの蛋白の分子量は25〜30KDaであるので、低分子量GTP結合蛋白(small G)であると思われる。分泌顆粒や分泌小胞に結合しているsmall Gはrab蛋白質と呼ばれ、小胞の輸送やターゲッティングに関与している可能性がある。RT-PCR/ノザン解析及び抗パプチド抗体を用いた免疫化学的手法によって分泌顆粒に結合しているrab蛋白質の同定を現在行なっている。
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