人工脂質膜モデルと遺伝子組み換え細胞を用いた生体膜蛋白の分子形態学的解析

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06670041
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 関西医科大学
• 研究代表者: 渡辺 淳 関西医科大学, 医学部, 助教授 (40148557)
• キーワード: 小胞体 / 生体膜 / リポソーム / チトクロームP-450 / チトクローム-P450還元酵素 / 膜蛋白

研究概要

1 肝細胞の小胞体を凍結割断レプリカ法を用いて電顕観察し、薬物代謝酵素の膜露出領域の大きさを測定した。小胞体膜には従来報告されているような大型のミセルに相当する粒子は観察されなかった。この結果は、薬物代謝酵素がin situでは大型ミセルを形成していない可能性を示唆する。現在、酵素標品を組み込んだ人工脂質膜および単離小胞体膜の解析を行なっている。
2 フェノバルビタールを投与したラットの肝からチトクロームP-450IIB-2およびチトクロームP-450還元酵素を部分精製した。領域特異的抗体を用いた実験については、抗原(部分精製標品の蛋白分解酵素消化物と合成ペプチドフラグメント)作製の段階にある。
3 膜蛋白を単離することなく原子間力顕微鏡(AFM)で観察するには、タッピング方式のAFMが最適であった。現在、凍結割断レプリカ法とAFMを併用して、各酵素分子および分子複合体の高次構造をsub-nanometerオーダーで解析しつつある。
4 P-450IA1およびIIB2に対するDNA probeを作製した。Northen hybridization法を用いた解析では、probeのIA1およびIIB2 m-RNAへの結合は特異的で、このprobeを用いた両m-RNAの回収・精製が可能となった。
5) 上記の結果に加えて、画像解析装置を用いた定量免疫組織化学法を開発した。また、高感度定量in situ hybridization法を開発中である。これらの技法は、平成7年度の実験に用いられる。

研究成果

• [文献書誌] Watanabe,Jun: "Measurement of NADPH-cytochrome P-450 reductase content in rat liver sections by quantitative immunohistochemistry with a video image processr." J.Histochem.Cytochem.42. 1161-1167 (1994)
• [文献書誌] Watanabe,Jun: "Absence of paravascular nerve projection and cross-innervation in interscapular brown aclipose tissues of mice" J.Auton.Nerv.Syst.49. 269-276 (1994)
• [文献書誌] Fujimoto,Satoshi: "Age-related changes in fiber number,fiber size,fiber type composition and adenosine triphosphatase activity in rat soleus muscle" Ann.Anat.176. 429-435 (1994)
• [文献書誌] 渡辺 淳: "光学顕微鏡定量分析と電子顕微鏡形態計測法" 電子顕微鏡. 29. 54-57 (1994)
• [文献書誌] 渡辺 淳: "形態計測と顕微分光測光による細胞内分子密度の測定" 細胞. 26. 273-276 (1994)
• [文献書誌] Watanabe,Jun: "Cytochrome P-450 reductase content in rat liver sections by quantitutive immunohistochemistry with vicleo image processor:Authors′response." J.Histochem.Cytochem.43(印刷中). (1995)