人工脂質膜モデルと遺伝子組み換え細胞を用いた生体膜蛋白の分子生態学的解析

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06670041
• 研究機関: 関西医科大学
• 研究代表者: 渡辺 淳 関西医科大学, 医学部, 助教授 (40148557)
• キーワード: 小胞体 / 生体膜 / リポソーム / チトクローム P-450 / チトクローム p-450環元酵素 / 膜蛋白

研究概要

1)小胞体膜と同じ組成のリン脂質を界面活性剤の存在下で超音波処理してミセルとし、このミセルを透析後、凍結融解することで、肝細胞の小胞体膜を模倣する人工脂質膜の作製が可能となった。この膜はミクロソーム小胞と等しい直径を持つ単位膜で、凍結融解を繰り返と大型で嚢状の膜となった。この膜に精製した膜蛋白標品を組み込んで生化学的に解析することで、この膜が小胞体膜の好適なモデルとなることを確認した。
2)In situにおける膜蛋白の原子間力顕微鏡(AFM)観察には、タッピング方式が最適であった。また、リン脂質層に金属イオンを付加することで試料の保定はtightにできたが、像にア-ティファクトが生ずる可能性があり、このことについて、現在、解析中である。
3)画像解析装置を用いた定量免疫組織化学法を確立した。この方法と電顕形態計測法を組み合わせて、小胞体膜における種々の膜蛋白の組み込み密度を算出できたので、小胞体と同じ数の分子を組み込んだ人工脂質膜の作製が可能となった。
以上、ラット肝細胞の小胞体膜を高度に模倣した人工脂質膜の作製胞が確立できた。そのため、膜蛋白構造のnanometerおよびsub-nanometerレベルの詳細な解析が人工脂質膜モデルにおいてで可能となった。一方、組み換えCHO細胞では組み込み蛋白の発現量が制御できず、モデルとしての有用性に乏しいことが判明した。

研究成果

• [文献書誌] Watanabe, Jun et al.: "Selective transport of glycolipid molecules containing N-acetylgalactosamine to the basuluteral clomain of mouse hepatocyte plusma menbrane" Acta Histochem. Cytochem.28. 357-364 (1995)
• [文献書誌] Watanabe, Jun: "Cytochrome P-450 reductase content in rat liver sections by guantitative immunobisto of emistry with video image processur : avtbys' response" J. Histochem, Cytochem. 43. 561 (1995)
• [文献書誌] Amatsu, Tsuyoshi et al: "Endoplasmic reticulum prolifevates without an increase in cytochrume P-450 in heputocytes of mice treated with phenobarbital and cobult chloricle" Eur. J. Cell Biol.68. 256-262 (1995)
• [文献書誌] Tanaka, Jun-ichi et al.: "Visualization of acetylchollne in the mouse brain by a combination of immnobiotochemistry with ionic fixatin." Acta Histochem. Cytochem. 28. 231-237 (1995)
• [文献書誌] Watanabe, Jun etal: "Preparation of liposunes that mimic the membrune of endoplasmic reticulum of rat bepatocyte" J. Electron Microsc. 45(印刷中). (1996)