研究課題/領域番号 |
06670045
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
林 文明 千葉大学, 医学部, 講師 (80173029)
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研究分担者 |
福田 康一郎 千葉大学, 医学部, 教授 (10009649)
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キーワード | Hering-Breuer反射 / 吸息抑制反射 / 呼吸ニューロン / 漸減性呼息ニューロン / 腹側呼吸ニューロン群 / 抑制性介在ニューロン / ラット |
研究概要 |
肺伸展受容器の活動化により吸息の終了と呼息の延長からなる無呼吸(Hering-Breuer:H-B)反射が生じる。平成6年度の研究では、延髄内腹息呼吸ニューロン群(Ventral Respiratory Group;VRG)に存在する漸減性呼息ニューロン(E-dec細胞)がH-B反射回路おける抑制性介在ニューロンとして妥当であるかどうかについて電気生理学的手法を用いて検討した。非動化、人工呼吸下、ウレタン麻酔ラットの延髄より、微小ガラス電極を用いて合計120個の呼吸ニューロンの膜電位をVRGより記録した。現在までに得られた新知見は以下の点である。1)VRGの分布については、猫に比較してラットでは、呼息ニューロンの割合が高かった(75細胞:63%を占める)。2)ラットのVRGでは呼息-吸息ニューロンの分布境界が猫ほど明確ではなく、混在していた。3)38細胞(32%)のE-dec細胞を記録したが、その内の55%(21細胞)は頚部迷走神経の逆行性刺激に応答したために脳神経と考えられた。4)逆行性刺激に応答しないE-dec細胞は介在性ニューロンと考えられ(17細胞)、これらの細胞はBotzinger Complexから閂のレベルまで広く散在していた。17細胞の内、13細胞では迷走神経・求心性刺激によりEPSP(潜時:2.2-4.0ms)が誘発された。5)13細胞の介在ニューロンと考えられるE-dec細胞において、肺伸展(H-B反射、7細胞)及び迷走神経の反復(100Hz)電気刺激(H-B反射の模倣、10細胞)により全ての細胞で持続的な脱分極が生じた。以上の結果より、E-dec細胞はH-B反射回路における抑制性介在ニューロンとして妥当であると考えられた。
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