研究課題/領域番号 |
06670054
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉崎 和男 徳島大学, 医学部, 教授 (50079696)
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研究分担者 |
有薗 直樹 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10079725)
池原 敏孝 徳島大学, 医学部, 講師 (40111033)
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キーワード | マスト細胞 / ヒスタミン / ^1H-NMR / ヘパリン |
研究概要 |
^1H-核磁気共鳴(NMR)法を用い、マスト細胞のヒタミン分泌機序を解析し、以下の結果を得た。 1.マスト細胞の^1H-NMRスペクトルにヒスタミンが検出できた。その共鳴線は水溶液に比べ低磁場に出現し、線幅が広く、しかも磁化の飽和移動が生じた。これらのことから、マスト細胞内のヒスタミンは運動が制限された状態であり、分泌顆粒に結合していると考えられた。 2.分泌顆粒内にはヘパリンがある。寒天に結合させたヘパリン溶液にヒスタミンを混和させると、ヒスタミンの線幅は増加し低磁場側に移動した。しかし、磁化の飽和移動は生じなかった。従って、マスト細胞のヒスタミンは顆粒内のヘパリンと結合している可能性があるが、その結合様式は単なるヘパリンとの混和では説明できなかった。 3.マスト細胞が顆粒を分泌すると、遊離ヒスタミンが出現した。ところが、マスト細胞を等張のスクロース溶液に浮遊させると、顆粒分泌の際に遊離ヒスタミンは出現せず、結合型ヒスタミンのままであった。この浮遊液にNaClを追加すると、遊離ヒスタミンが出現した。このことから、ヒスタミンは分泌顆粒に結合したまま細胞外に放出された後、外液のNa^+イオンの存在下に顆粒から遊離すると考えられた。 4.線虫を経皮感染させたラットでは小腸の消化管粘膜にマスト細胞が著明に増加する。その消化管を用いてin situでマスト細胞が検出できるかを検討したが、マスト細胞の同定にまでいたらなかった。また、マスト細胞浮遊液の^<31>P-NMRスペクトルを測定したが、十分なS/N比が得られず、ATPや細胞内pHの測定には多量のマスト細胞が入手可能な培養細胞系の確立が望まれた。
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