プロジェクト1.神経一体液中枢性統合機構による長期調節 脳室周囲機関の一つであるArea Postrema(最後野)が持つ神経一体液統合機構により、長期に血圧調節を行う機能があるかどうかを調べるために、Area Postrema除去ウサギ群(APX群、n=8)およびシャム手術ウサギ群(INT群、n=7)にバゾプレッシン(0.25ng/kg/min)を5日間投与した。投与前5日間から投与後3日間までの13日間、代謝ケージにて水分およびナトリュウム(Na)バランスや、体重、血漿Na濃度、血漿浸透圧、ヘマトクリット、血圧、心拍敷を測定した。 結果1.代謝ケージによるバランス実験では、INT群に水分貯留が観られ、APX群ではそれが観られなかった。血漿Na濃度、血漿浸透圧、ヘマトクリットは、INT群で水血症を、APX群で正常を示した。 結果2.平均血圧は、両群間に差はみられなかった。心拍数は、INT群では低下し、APX群では変化しなかった。 結果3血中バゾプレッシン濃度は、AVP投与前、投与中、投与後のいずれも両群間に差がなかった。 結果4.脳幹部の形態学的検討により、APX群では最後野のみが破壊されており、周囲の破壊は最小限度であった。 <結論> Area Postremaを介する、バゾプレッシンによる神経ホルモン統合機能は、長期的にも、水分代謝、Na嗜好性に影響を及ぼしており、さらに循環系でも心拍数に影響を与えている。しかし、血圧にはその影響力は少なく、他の血圧調節機構により代償されてしまう程度である。 プロジェクト2.動脈圧受容器反射系による中枢性統長期調節 動脈圧受容器反射系は長期血圧調節に関与しないという概念に挑戦するために、24時間血圧測定システムを確立し、動脈庄受容器除神経群(SAD群)と動脈圧受容器正常群(lNT群)の24時間血圧を比較した。 結果1.24時間血圧測定システムが確立した。 結果2.安静時血圧の最頻値は両群間に差はみられなかったが、体動時血圧の最頻値はlNT群の方がSAD群より高値を示した。 <結論>体動時は、中枢性神経が動脈圧受容器反射系を介して、血圧調節を行っている可能性が示された。
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