研究概要 |
心筋CI電流に対する交感神経性αおよびβ作用の干渉 今回、心筋CI電流の交感神経性β作用による活性化は同じく交感神経性のα作用によって抑制を受けることを見出し、そのメカニズムについて検討した。 モルモット心室筋細胞においてwhole cell clamp下にCI電流を測定した。α,β agonistであるnoradrenalineによって活性化されたCI電流は、α_1遮断薬(prazosin)添加により増大した。βagonistであるisoproterenol(ISO)によって活性化されたCI電流は、a_1 agonistのphenylephrine(PHE)によって抑制された。CI電流に対するISOの用量作用曲線をみると、K_<1/2>は対照時28nM、PHE(30mM)存在下で86nMであった。このようなα-β作用の相互干渉は、単一チャネルレベルでも確認された。すなわち、outside-out膜においてβ作用により活性化されたCIチャネル活動がPHEによって抑制されることが観察された。以上の結果は、心筋におけるβ作用によるCI電流活性化に対してα_1作用が抑制的に働くことを示す。一方、PHEはadenylate cyclaseのactivatorであるforskolinによって誘発されたCI電流に対しては効果を示さず、また、GTP_γSの細胞内負荷および一時的なβ刺激により持続的に活性化されたCI電流に対しても無効であった。これらの結果は、α_1刺激によるβ作用の減弱は adenylate cyclase を介するものではないことを示す。PKCのactivatorであるTPAにはPHEのような作用はなく、また、PHEによるβ作用減弱効果は細胞内に20 mM BAPTAを負荷した場合にも存続した。すなわち、観察されたα_1作用にはPKCやCaイオンは関与していないと考えられる。
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