研究概要 |
我々の開発したパッチクランプ可能な半密閉式心筋細胞灌流装置(平成6年度の概要記載)を用いてモルモット心筋細胞をanoxia状態に導き,ATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネルを活性化させ,その活性化のメカニズムを明らかにした。[結果](1)Anoxiaで活性化される大きな外向き電流は,K_<ATP>チャネル阻害剤グリンベンクラマイドで完全にブロックされたことよりK_<ATP>電流であると考えられる。(2)Normoxia状態で,代謝阻害剤FCCP(0.1μM)によりミトコンドリアにおける酸化的リン酸化によるATP産生を阻止すると,K_<ATP>電流が急速に活性化されAPDは短縮した。(3)外液にグルコースが高濃度(11mM)に存在しても,anoxiaによる活動電位持続時間(APD)の短縮を阻止できなかった。(4)無グルコース下で,iodoacetic acid(3mM)により解糖を阻害すると,30分以上経過してようやくAPDの短縮が出現した。 以上よりEGTAを含む細胞内液で灌流されている心室筋細胞におけるK_<ATP>チャネルの活性化は,解糖ではなく,酸化的リン酸化によって産生されるATPにより調節されていることが判明した。
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