研究課題/領域番号 |
06670067
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
小林 孝和 帝京大学, 医学部, 講師 (00112756)
|
研究分担者 |
白川 伊吹 帝京大学, 医学部, 助手 (80236190)
大石 昇 帝京大学, 医学部, 講師 (80176825)
|
キーワード | anti-S2 antibody / hinge region / skeletal muscle / force / stiffness / ATPase activity / rabbit psoas / glycerinated muscle |
研究概要 |
骨格筋のミオシンS-2部が筋収縮にとって重要な役割を果たすことは抗S-2抗体(IgG)を用いた種々の収縮実験の証拠からわかっている。おそらくS-2部の中でもhinge領域が収縮特性を修飾させうると考えられるので、この領域に存在する20アミノ残基からなるペプチドを合成し、これを抗原とした抗S-2hinge抗体(new IgG)を順天堂大生化学教室、ヤマサ免疫研究所の協力を得て作製した。このnew IgGがミオシンS-2部に結合するか否かの確認は、ヘビーメロミオシンをもちい電子顕微鏡下で観察した。new IgGはhinge領域付近にsharpな分布を示し、この段階では抗体作製に成功したといえる。我々は当初このnew IgGをpapainで処理しFab(3mg/ml)にしてウサギ骨格筋の弛緩単一筋線維に作用させたところ、これまでの抗S-2抗体(IgG、3mg/ml)に比べ発生張力およびstiffnessを完全に抑制させた。また硬直単一筋線維に作用させたところ、これまでのIgGはdiffusion barrierのため入り込めず張力およびstiffnessを全く減少させなかったのにたいし、Fabを高濃度(5-10mg/ml)にした場合これらをかなり減少させたかのようであった。しかし実験終了後の筋線維をSDSにかけ詳細に調べたところ、Fabの処理過程で混入した蛋白分解酵素のため本来あるべきバンドがくずれ、この方法は再検討を要することがわかった。そこで初心に戻ってnew IgGの効果のみを調べることにした。わかった結論は以下のとうりである。抗S-2hinge抗体(new IgG、3mg/ml)を弛緩単一筋線維に作用させると、張力およびstiffnessを40-50%に減少させるがATPase活性は変化させない。一方、硬直単一筋線維に作用させると張力およびstiffnessをわずかに減少させるにとどまった。したがってミオシンS-2部のhinge領域は当初予想していたこととは異なり現段階では筋収縮にとってさほど重要な役割を果たすようには考えられない。
|