研究課題/領域番号 |
06670090
|
研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
平田 耕造 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (70110624)
|
研究分担者 |
吉田 美奈子 神戸女子大学, 助手
東渕 とも子 神戸女子短大, 助手
|
キーワード | 皮膚血流量 / 毛細血管 / 動静脈吻合(AVA) / 体温 / 温熱刺激 / 非温熱性刺激 / レーザードップラー血流計 / 顕微鏡ビデオ |
研究概要 |
ヒトの手指血流量に及ぼす室温上昇の効果を、表面の毛細血管血流量を測定するレーザードップラー血流計を用いて測定した場合、指の皮膚温を一定にしておくと平均皮膚温の上昇があっても増加しなかった。但し、指皮膚温を特別に調節しないときには、室温上昇に伴う指皮膚温の上昇に比例した増加が観察された。これは、毛細血管血流量を調節するいくつかの機序のうち、平均皮膚温の上昇に伴う血流量の増加(すなわち、中枢を経由する調節機序による増加)は極めて少なかったのに対し、局所温を水浸漬によって上昇させた場合の血流量増加(すなわち、平滑筋温を介する機序による増加)の方がはるかに優位であった。一方、静脈閉塞プレチスモグラフ法で観察した場合、ヒトの手指血流量に及ぼす室温上昇の効果は平均皮膚温の上昇にほぼ比例して増加し、ここに結果の不一致が認められた。この差異は毛細血管と動静脈吻合(AVA)血流調節機序の違いを反映したものであると考えられる。 ヒトの爪床血管を顕微鏡ビデオで撮影すると、個人による形態的特徴に著しい差異のあることが判明した。それゆえ、本研究で意図した実験に好都合の被験者を、多数求めることは至難の業であった。しかし、得られた少数の被験者について、同様な刺激を与える実験を繰り返し実施したことにより、ほぼ所期の目的は達成されるものと推測している。指の血流量は中性温度環境下では変動が大きく、一定の値を維持させることが難しい。この原因の一つに手指の局所温条件を厳密に調節する必要がある。今後は、この点を改良して実施したい。
|