アミノ酸配列の情報をもとにしてウナギの心筋からクローニングしたKチャンネル(RBHIKI)は2つの膜貫通領域を有しており、マウスマクロファージのIRKIと塩基レベル87%の相同性を有していた。そのRBHIKIの性質をアフリカツメガエル卵母細胞の発現系を用いて検討し、RBHIKI電流は強い内向き整流特性を示すこと、また外液Ba^<2+>、Cs^+によって濃度依存的・時間依存的に抑制されることを明らかにした。さらにノザンブロットによってmRANAの組織分布を検討とRBHIKIのmRANAは脳、心臓、骨格筋、腎臓等に存在するが、特徴的なこととして心臓において心室筋に非常に豊富に存在するのに対し、心房筋には存在しないことを明らかにした。このことは心筋のネイティブなI_<K1>に関する知見と一致しているが、RBHIKIがI_<K1>そのものであるかどうかは今後の検討が必要である。現在パッチクランプ法による単一電流の解析や培養細胞にRBHIKIをトランスフェクトしそれを安定して発現している細胞の樹立を行っており、今後詳細な検討を進めていく予定である。 また、構造と機能の相関に関しては6つの膜貫通領域を有する電位依存性KチャンネルとRBHIKIとのキメラを作製し、内向き整流特性に影響を与えている領域に関する検討を行ったが、作製したキメラがチャンネルとして機能しないなどの結果であってそれに関する情報は得られなかった。しかし、内向き整流特性を示すKチャンネルの構造と機能に関する研究は世界的に非常に速いスピードで進み強い内向き整流性を与えているMg^+ブロックに関与するアミノ酸やG蛋白活性型のKチャンネルにおいてG蛋白と相互作用する領域などの重要な部位がすでに同定された。今後の予定としてはこれまでに得られている情報を参考にしてサブコンダクタンスの問題や何量体を形成するのかなどの問題を検討していく。
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