研究概要 |
これまでに5種類の哺乳動物(ヒト、ウシ、ラット,マウス,モルモット)のヒスタミンH1受容体についてウシに関してはcDNAを,また,それ以外についてはゲノム遺伝子をクローン化した.ヒスタミンH1受容体にはその一次構造内に7箇所の膜貫通領域と考えられる疎水性の高い領域が存在しており,GTP結合蛋白質にそのシグナルを伝達する光の受容体であるオプシンなどと同じ受容体ファミリーの一つであることが判明した. ヒト,ラット,及びモルモットヒスタミンH1受容体のゲノムDNAはいずれもそのプロモータと考えられる配列のすぐ下流に蛋白質コード領域が位置し,その下流に3′non coding領域,polyA付加シグナルが続いており,遺伝子の長さがNorthern blotによって検出されたmRNAの大きさとも一致することからH1受容体遺伝子がIntronless遺伝子であることを確認した.また,ヒトでは第三染色体p25にその遺伝子が存在した.マウスH1受容体遺伝子については九州大学生体防御医学研究所感染防御学部門渡辺武教授との共同研究によって蛋白質コード領域についてイントロンがないことを確認した.このことはゲノムDNAをクローン化していないウシH1受容体遺伝子についてもイントロンがない可能性が非常に高いことを示していると考えられた. クローン化したヒトH1受容体の蛋白質一次構造について種による違いを比較したところそのホモロジーはウシ,ラット,マウス,モルモットH1受容体に対してそれぞれ81%,78%,75%,71%であることが判明した.
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