研究課題/領域番号 |
06670131
|
研究機関 | 国立衛生試験所 |
研究代表者 |
川西 徹 国立衛生試験所, 生物薬品部, 室長 (40124383)
|
研究分担者 |
高橋 道人 国立衛生試験所, 病理部, 部長 (30080005)
早川 堯夫 国立衛生試験所, 生物薬品部, 部長 (50124392)
横田 椅江 国立衛生試験所, 生物薬品部, 研究員
太田 美矢子 国立衛生試験所, 生物薬品部, 研究員
|
キーワード | レーザー顕微鏡 / カルシウムイオン / 蛍光プローブ / カルシウムウェーブ |
研究概要 |
1.発がん遺伝子c-met生成物である肝細胞増殖因子(HGF)受容体タンパク質に対する抗体を用いて初代培養ラット肝細胞のHGF受容体を免疫組織化学的に染色し、共焦点レーザー走査顕微鏡で観察したところ、形質膜の特定部位への局在が観察された。しかし、この局在とカルシウムウェーブの開始点あるいはウェーブの広がりの空間的パターンとの間には法則性はなかった。 2.蛍光プローブDiOC6やFluo-3等の局在あるいは特異抗体を用いて、初代培養ラット肝細胞の小胞体および小胞体内腔の主要カルシウムイオン結合蛋白質であるカルレティキュリンの蛍光染色を行い、細胞内局在部位とカルシウムウェーブの形とを比較したが、法則性は見いだせなかった。 3.細胞内カルシウム貯蔵部位からのカルシウムイオン放出の可視化を目的に、蛍光プローブの細胞内局在を利用した共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡によるカルシウムイオン貯蔵の画像化を試みた。Indo-1/AMあるいはfluo-3/AMは小胞体を思わせる網目上構造物中に取り込まれ、イオノマイシン処理によって蛍光強度比の大きな減少を示したが、イノシトール三燐酸添加では変化せず、生理的なカルシウム放出は検出できなかった。一方カルシウムイオンの親和性が低いmag-indo-1あるいはCalcium green-5Nの局在は観察されなかった。そこでfura-2の局在を利用して、カルシウム放出を通常の蛍光顕微鏡で画像化してみたが、局所的放出は検出できなかった。 4.以上の結果と前年度の結果をあわせて、初代培養肝細胞では、(1)イノシトール三燐酸の生成量は細胞個々のアゴニストに対するカルシウム反応性と密接に関係している、(2)しかし生成の局在はカルシウムウェーブの空間的パターンとは一義的には関係していない、(3)ウェーブのパターンは細胞内オルガネラの空間的配置からは説明できない、ことが明らかとなり、ウェーブのパターンはイノシトール三燐酸受容体の局在等によって決定されていることが示唆された。
|