研究課題/領域番号 |
06670132
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研究機関 | 国立小児病院 |
研究代表者 |
西村 千尋 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児薬理研究部・中毒副作用研究室, 室長 (70150571)
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研究分担者 |
小海 康夫 小児医療研究センター, 病理研究部, 室長
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キーワード | アルドース還元酵素 / ジーンターゲティング / 糖尿病合併症 / 酵素欠失マウス |
研究概要 |
本申請者らはヒトアルドース還元酵素(AR)cDNAをプローブとして25個のマウスAR候補遺伝子クローンを単離した。しかしこの中にマウスARとして報告されているmouse vas deferens protein(MVDP)に相当するものが無いことがわかり、改めてラットARのcDNAをプローブとしてマウス腎臓cDNAライブラリーのスクリーニングを行った。得られたクローンの塩基配列はMVDPとは異なっており、その推定アミノ酸配列はラットARと97%一致していた。本cDNAの蛋白コード領域を大腸菌系にて発現した組み換え蛋白はARとしての酵素学的特徴を示したことから、MVDPはマウスARとは異なった蛋白であり今回我々が単離したクローンがマウスのARをコードするものであることが明らかとなった。同時にこの結果はマウスにはARと高い構造類似性を持つ近縁蛋白(MVDP)が存在することを示すものであった(研究発表;Gui et al.)。次にこの塩基配列をもとにプライマーを合成し、単離した25個のマウス遺伝子クローンよりARの遺伝子を同定するべくPCRスクリーニングを行った。現在この中の2個のAR遺伝子クローンの制限酵素地図を作成し、エクソンを中心とした塩基配列を決定してターゲティングベクター作製の準備を進めている。 当初の計画のターゲティングベクターの作製に遅れを生じたが、本年度単離したマウスARのcDNAは文献報告されておらず、マウスにはMVDPというAR類似蛋白が存在するという新知見が得られた。この結果はヒト組織でも未知のAR様蛋白が存在して何らかの機能的役割を分担している可能性を示唆し、今後の本研究の展開にも重要な意味を持つ所見と考えられる。
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