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1995 年度 実績報告書

遺伝子改変による糖転移酵素の局在と糖脂質輸送機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 06670146
研究機関長崎大学

研究代表者

古川 圭子  長崎大学, 医学部, 助手 (50260732)

研究分担者 古川 鋼一  長崎大学, 医学部, 助教授 (80211530)
キーワードガングリオシド / 糖転移酵素 / 遺伝子改変 / Golgi局在 / 基質特異性
研究概要

シアル酸を含む糖脂質であるガングリオシドは神経組織に豊富に発現しており、その機能維持に必要と考えられている。私達は種々のガングリオシドの前駆体となるガングリオシドGM2及びGD2を合成する酵素β1,4-N-acetylgalactosaminyltransferase(β1,4GalNAc-T)のcDNAを単離した。本研究では単離された本酵素遺伝子の分子生物学的手法を用いた改変により、酵素タンパク分子としての構造と機能を明らかにすることを目的とし、以下の結果を得た。
1)β1,4GalNAc-Tタンパクの局在と局在シグナル部位の同定をする為に、本酵素遺伝子の膜貫通(TM)部位全体を欠失したmutant遺伝子発現ベクターを作成し、細胞に導入、発現させた。その結果、酵素機能発現の指標としてのガングリオシド発現は全く認められず、細胞膜・細胞質画分および培養液中にも酵素活性は検出されなかった。これは、TMへの局在が撹乱され結果、正しい機能発現が不能になったものと考えられる。
2)本酵素タンパクの3ヵ所に存在するN型糖鎖結合部位をアミノ酸置換(Ans→Gln)するために、それらの部位をgeneticに欠失させた発現ベクターを作成し、その産物の機能を解析することにより、N型糖鎖の意義を検討した。その結果、i)ガングリオシド糖鎖の一過性発現には大差なかった。ii)酵素活性はN型糖鎖の欠失部位数に従い低下したが、Km値はほとんど変わらなかった。iii)酵素タンパクの局在をモノクローナル抗体を用いて、安定発現細胞株で観察したところ、wild typeでは明らかなGolgiへの局在が認められたが、N型糖鎖を欠失したタンパクではそれが消失した。従って、N型糖鎖が酵素タンパクのGolgi局在に重要であることが示唆された。
3)本酵素タンパクとプロテインAとの融合タンパクを分泌する安定発現細胞株を作製し、タンパクの大量発現・精製を行い、本酵素の基質特異性を検討した。本酵素はGM3からGM2、GD3からGD2を合成するが、lactosyl ceramideからasialo-GM2への合成反応については不明であった。in vitroの酵素アッセイでは、asialo-GM2はGM2合成の1〜3%程度合成されたが、lactosyl ceramide陽性でGM3陰性の細胞株に本酵素のcDNAを導入し発現させたところ、十分なasialo-GM2の合成発現が認められた。従って、本酵素は特定の条件下でasialo-GM2を合成することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Takamiya,K.: "T cell receptor-mediated stimulation of mouse thymocytes induces up-regulation of the GM2/GD2 synthase gene." FEBS Lett.358. 79-83 (1995)

  • [文献書誌] Yamashiro,S.: "Substrate specificity of b 1,4-N-acetyl-galactosaminyltransferase in vitro and in cDNA-transfected cells.GM2/GD2 synthase efficiently generates asialo-GM2 in certain cells." J.Biol.Chem.270. 6149-6155 (1995)

  • [文献書誌] Haraguchi,M.: "The effects of the site-directed removal fo N-glycosylation sites from GM2/GD2 synthase on its function." Biochemical J.312. 273-280 (1995)

  • [文献書誌] Yamamoto,A.: "Diverse expression of mRNA of b1,4-N-acetylgalactosaminyltransferase gene in the adult mouse brain." J.Neurochem.65. 2417-2424 (1995)

  • [文献書誌] Yamashiro,S.: "Expression of a2,8-sialyltransferase (GD3 synthase) gene in human cancer cell lines : High level expression in melanomas and up-regulation in activated T lymphocytes." Glycoconj.J.12. 894-900 (1995)

  • [文献書誌] Yamamoto,A.: "Heterogeneity in the expression pattern of two ganglioside synthase genes during mouse brain development." J.Neurochem.66. 26-34 (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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