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1994 年度 実績報告書

脳神経系の発生初期過程に関する分子遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 06670147
研究機関熊本大学

研究代表者

大久保 博晶  熊本大学, 医学部, 教授 (20094089)

研究分担者 安波 道郎  熊本大学, 医学部, 助手 (80244127)
キーワード神経前駆細胞 / TEF-1 / 転写調節因子 / TEAドメイン / 神経発生 / 後脳
研究概要

哺乳動物神経発生の初期過程に関わる遺伝子群の発現制御機構を解明する目的で、サブトラクションとdifferential hybridization法を用いて、神経前駆細胞により多く発現するcDNAクローンを選択し、その5´末端の部分塩基配列の決定と既存のデータベースに対する比較により解析した。その結果得られたcDNAの一つは、P.ChambonらがヒトのHeLa細胞から単離したSV40のエンハンサーに結合する転写因子TEF-1と、約65%の相同性を示す新たな蛋白をコードしていた。また本蛋白はヒト、マウス、ニワトリなど脊椎動物のTEF-1をはじめ、出芽酵母のトランスポゾンTy1の活性化に必要なTEC1、こうじカビ(A.nidulans)の胞子形成に関与するabaA、ショウジョウバエの感覚神経細胞の分化に関与するscalloped(Sd)等の遺伝子産物とファミリーを形成することが明らかになった。さらに、これらの蛋白に共通で、DNA結合領域と推定されるTEAドメインの一次構造、およびGT-IICモチーフに対する特異的なDNA結合活性は本蛋白においてもTEF-1同様に完全に保存されていることも証明できた。一方、ubiquitousな発現を示すTEF-1とは異なって、本mRNAの発現はマウスの胎生10日前後をピークとし、特に後脳領域に発現をみとめ、成体には殆ど発現が見られなかった。従って、本蛋白(ETF:Embryonic TEA domain-containing Factorと命名)は神経前駆細胞、とくに後脳や小脳、の発生過程に関与する転写因子である可能性が強く示唆された。マウスのTEF-1はヒトのTEF-1とアミノ酸レベルで99%の相同性を有し、mRNAの大きさや塩基配列からも我々の発見したETFとは明かに異なる。我々が発見した蛋白は、このファミリーを構成する哺乳類で2番目の蛋白であり、ニワトリTEF-1もいくつかの根拠から、マウスやヒトのTEF-1とは異なるサブタイプと考えられることから、我々は、哺乳類においてTEAドメインをもつ転写因子群に複数のサブタイプが存在し、各サブタイプはそれぞれ組織特異的あるいは時期特異的な遺伝子発現調節に関与するであろうと結論した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 永田和宏: "分子生物学・免疫学キーワード辞典" 株式会社医学書院, 514 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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