研究概要 |
ラット脳グルタミン酸デカルボキシラーゼのアイソザイムの一つであるGAD65を酵母(Saccharomyces cerevisiae)にて発現した。精製タンパク質は抗ラット脳グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体と反応し,SDS-PAGEとWestern blot法にて単一バンドとして検出された。GAD65cDNAの上流にはCandida tropicalis由来のイソクエン酸リアーゼのプロモータ遺伝子を使用した。本研究で開発したこの発現系は異種タンパク質の発現に適していると思われることから,ヒト肥満細胞由来のヒスチジンデカルボキシラーゼの発現を行った。ヒスチジンデカルボキシラーゼはグルタミン酸デカルボキシラーゼと一次構造では相同性が高く,同じファミリーに属するデカルボキシラーゼとして,その反応機構には類似性が示唆されている。しかし,その基質特異性などに関してはグルタミン酸デカルボキシラーゼ同様未だ明らかでない。ヒスチジンデカルボキシラーゼはヒスタミンの合成に関与し,分子量74000で,その不安定さゆえ,大腸菌などでの発現系では発現できなかった。本発現系では,粗抽出液の段階でヒト肥満細胞より比活性の高いヒスチジンデカルボキシラーゼの発現が見られた。現在,精製を進めており,両デカルボキシラーゼの基質特異性を検討し,反応機構の解析を行っている。
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