1)マウスのチミジンホスホリラーゼ遺伝子のクローニングをするために、マウスのチミジンホスホリラーゼの部分cDNAをプライマーとしてマウスのゲノムDNAのPCRを行った。PCR産物をサブクローニングし、塩基配列を調べたところ、cDNAの1番目から1560番目の塩基に相当するゲノムDNAが301番目から480番目に相当するゲノムDNAを除き得られていた。しかしながらこのゲノムDNAはsv129系由来のものであり、これを用いてターゲテイングコンストラクトを作った場合、TT2系マウス由来ES細胞のゲノムDNAとの相同組み換えの効率は同系のマウス由来ES細胞を用いた場合に比べ低くなると考えられた。そこで、この部分ゲノムDNAをプローブとして新たにTT2系マウスのチミジンホスホリラーゼ遺伝子をスクリーニングすることにした。現在ゲノムDNAサザンハイブリダイゼーションを行って明瞭なシグナルが得られるように条件検討をしている。 2)ヒト類表皮癌細胞KB細胞にチミジンホスホリラーゼのcDNAをトランスフェクトし、チミジンホスホリラーゼを高発現している癌細胞KPE-3細胞を得た。これらの細胞をヌードマウスに移植した。現在、親株KB細胞とKPE-3細胞によって形成された腫瘍の増殖速度や血管量の差を検討中である。 3)フッ化ピリミジン系抗癌剤をはじめとする代謝拮抗剤以外の抗癌剤に対する親株KB細胞とKPE-3細胞の感受性を現在比較検討中であるがいくつかの抗癌剤に対する感受性に有意の差を認めた。
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